最近は、何を見てもAIです。営業資料にもAI、展示会にもAI、補助金の説明資料にもAI。少し大げさに言えば、AIと書いておけば先進的に見える、そんな空気すらあります。
もちろん、生成AIは本物の技術革新です。文章作成、検索、要約、顧客対応、社内ナレッジ活用など、多くの業務で大きな変化を起こしています。私自身も日々活用しており、その効果は実感しています。
ただ、経営者の立場で少し冷静に見ると、本当に重要なのはAIを導入したかどうかではありません。
自社が顧客や取引先の業務の中で、どれだけ必要とされる存在になっているか。そこです。
たとえば、受発注が止まると困る。請求処理が遅れると資金繰りに影響する。問い合わせ対応が回らないと売上機会を失う。在庫管理が乱れると現場が混乱する。こうした日々の業務を、安定して回すことこそ企業経営の土台です。
私も中小企業の現場を見ていて感じるのは、最新システムの話より、まず請求漏れをなくしたい、問い合わせ対応を早くしたい、人手不足でも現場を回したい、という悩みの方が圧倒的に多いということです。
そこに深く入り込み、なくては困る仕組みやサービスを提供している会社は、AI時代でも強いと私は思います。
なぜなら、顧客が買っているのはAIそのものではなく、「仕事が回ること」「ミスが減ること」「利益が出ること」だからです。
一方で、表面的な業務だけを請け負っている会社は、今後厳しくなる可能性があります。資料を整えるだけ、情報をまとめるだけ、誰がやっても同じ作業を安く受けるだけ。そのような仕事はAIによって代替されやすく、価格競争にも巻き込まれやすくなります。
これは、私たち支援会社にも言えることです。AI導入の提案だけして、現場が何も変わらない。そんな支援では、これから選ばれなくなるでしょう。現場を理解し、業務に入り込み、成果まで伴走できる会社だけが残ります。
AI時代に必要なのは、流行語に乗ることではありません。
自社は誰のどんな業務を支えているのか。自社がいなくなると、どこが困るのか。AIを使うことで、その価値をさらに高められるのか。
この3つを真剣に考えることです。
流行は毎年変わります。しかし、顧客に必要とされる会社が強いという原則は変わりません。
AI時代になって新しいルールができたのではなく、以前からあった実力差が見えやすくなっただけなのかもしれません。
地味ですが、経営とは昔からそういうものです。
